RC造とは?メリットやデメリットを解説
記事作成・更新日: 2025-08-19

建物の構造について考えたことはあるだろうか? 建物の構造とは、ハウスメーカーや賃貸情報サイトでよく見かける「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」「鉄骨造(S造)」「木造」のことを指します。

なかでも「木造」は流通量が最も多く、建築価格を抑えるための構造として知られていました。しかし、2021年3月頃、新型コロナウイルスの影響により木材費用が高騰し、「ウッドショック」の問題が深刻化しました。現在は収束傾向にありますが、ウッドショック以降、木造以外でのRC造(鉄筋コンクリート造)での家づくりが注目されるようになりました。

そんなRC造とはどうような構造なのか、また、SRC造、S造、木造との違いについて詳しく解説していきます。

RC造とは?

RC造とは「Reinforced Concrete構造」の略称で、鉄筋コンクリート造と呼ばれ、コンクリートを鉄筋で補強した部材を骨組みとした構造です。コンクリートは硬く変形しにくいため、粘り強い鉄筋で補強することで優れた構造材となります。

近年では、「打ちっぱなしコンクリート」の内装によって人気を高めているデザイン性の高い物件もあります。

RC造のメリット

RC造にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

遮音性が高い

遮音性は比重や密度が大きいほど高まるとされており、比重の大きいコンクリートを使用するRC造では、隣の部屋や上下階の部屋からの騒音や振動を遮断してくれます。

耐震性が高い

RC造は、粘り強い鉄筋と変形しにくいコンクリートの組み合わせで、非常に強度が高く耐震性に優れています。

耐火性が強い

RC造は耐火性の高いコンクリートが鉄筋を覆い、火から守る役割を果たしていることで、全体として耐火性が高い構造になっています。そのため、特別な仕上げを行わなくても耐火性に優れた建物とすることができます。

耐久性が強い

コンクリートの耐久性が高いため、長寿命な建物にすることが可能です。

こうしたメリットから、国の重要施設である庁舎や消防署、警察署、避難施設等にも採用されており、非常に信頼度の高い構造といえるでしょう。

RC造のデメリット

メリットの多いRC造ですが、いくつか注意点もあります。

初期費用が高い

RC造の場合、柱や梁等の構造部分は現場で鉄筋と型枠を組み、コンクリートを流し込んで造ります。コンクリートは固まるまで一定期間を必要とするため、工期が長くなれば、現場の経費が必要となり、割高になります。
さらにRC造の物件には、石やタイルなどの比較的高価な仕上げ材を使用することが多く、コストがかさむ要因となります。

結露やカビが発生しやすい

RC造は高気密であるため、通気性が悪く、結露やカビが発生しやすいです。定期的に換気を行ったり、窓に発生する結露を取り除いたりする必要があります。

開放的な空間には適していない

RC造は、重量が大きいという性質から、室内に壁や柱などが多く必要となります。そのため、広く開放的な空間には適していません。

その他の構造

建物の構造には、RC構造以外に、S造(鉄骨造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、木造があります。

S造(鉄骨造)

S造とは、「Steel構造」の略称で、柱や梁などの骨組みに鉄骨を使った構造です。鉄は軽くて強く、粘り強いという特徴を持つため、高層ビルや体育館などの「大きな空間が必要な建物」で採用されることが多いです。
また鉄骨は粘り強いため、ゴムのように変形して力を吸収し、耐震性にも優れています。

一方でRC造やSRC造に比べて、比重や密度が低いため、生活音が響きやすいデメリットがあります。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、「Steel Reinforced Concrete構造」の略称で、鉄骨と鉄筋、コンクリートを使用した造りです。S造とRC造、それぞれの特徴を併せ持つことができるため、大きな空間や耐震性に優れた建物を作ることができます。そのためタワーマンションや超高層ビルなどの大規模な建物で採用されることが多いです。

一方で建設に手間がかかるため、建設コストは比較的高く、近年では高強度の鉄筋コンクリート造が普及しており、SRC造は減少しつつあります。

木造

木造は、その名の通り、スギ、ヒノキ、ヒバなどの木材を建物の骨組みとした構造のことで、日本で最も採用されている構造となります。材料が安価で、建設自体も比較的簡単であるため、戸建て住宅や小規模なアパートに使用されることが多いです。

RC造とその他の構造の比較

RC造と木造と鉄骨造を簡単に比較すると下記の表となります。

RC造 木造 鉄骨造
コスト
最も高価となり易い

最も安価に作り易い
木造に比べて高価
耐火性
耐火建築物

耐火性を確保する為には、構造部に被覆が必要

準耐火建築物
遮音性
容易に遮音性を確保できる構造

遮音性確保する為には遮音壁が必要

遮音性確保する為には遮音壁が必要
耐震性
最も耐震性が高い

コストをかければ耐震性を上げることも可能

コストをかければ耐震性を上げることも可能
建設工期
最もエ期がかかる

RC造に比べ早い

RC造に比べ早い

RC造は、その他の構造と比較して、遮音性、耐震性、耐火性の性能が最も高いとされています。そのため、家で過ごす時間が長い方や大音量で音楽を聴いたり、映画を楽しみたい方にはおすすめの構造です。
一方で、工期が長く建築コストが高いというデメリットがあり、初期費用を抑えたい方にとっては不向きかもしれません。

ローコストRC造を実現させるには?

高性能で割高となる要因が多いRC造ですが、ローコストで建てることができれば嬉しいですよね。では、ローコストRC造を実現するためには何が必要なのでしょうか。

ローコストRC造を実現するポイントとしては下記の点が挙げられます。

1.面積を最低限に抑える
2.平屋でつくる
3.水周りを最低限グレードでつくる
4.構造と内装を兼ねる
1.面積を最低限に抑える

玄関、廊下、階段等の移動空間を全て排除し、リビング空間がそれら移動空間を兼ねるようなオープンな間取りとすることで、建築面積を最低限まで抑えることが可能となります。

2.平屋でつくる

2階建て以上のRC造の場合、1階にコンクリートを流し込んだあと、2階をつくるまでに、コンクリートが固まるまでのある一定期間を必要としますが、平屋にすることでRC造のデメリットでもある工期の問題が解消されます。

3.水周りを最低限グレードでつくる

建築費用の中で、高い割合を占めるのは水回りにかかる費用であり、それらを最低限のグレードにすることで費用を抑えることができます。

4.構造と内装を兼ねる

RC造の場合は、手を加えることなく耐火性や遮音性、気密性を確保でき、そのまま壁や天井の仕上げとすることも可能です。つまり、打ち放しとすることで費用を抑えることが可能です。

RC造の建築事例紹介

①ST.house

インテリアにコンクリート打ちっぱなしの意匠を全面的に採用し、道路側の視線や音をコンクリートでうまく制御した建物となります。
外断熱工法、LOWーEガラスを採用することで、断熱性能を確保したままでコンクリート打ちっぱなしと大開口の意匠が実現し、プライバシーと開放性でRC造を採用することで、うまく両立した住居となります。

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②植物と暮らす家

外部に対して、コンクリート打ちっぱなしの堅牢なデザインとし、内部はコンクリートに囲まれた庭とリビングが一体的に利用できる大開口で繋がっています。
外部に対してはプライバシーに配慮し閉じたデザインで、庭の植物とリビングは一体的に利用できる作りになっています。
植物の背景も、周りの街の風景とは切り離し、RCと石の無機質なもので囲い、あとは空が見えるだけの演出とすることで、より植物が際立って見えます。

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まとめ

RC造は、コスト的に木造や鉄骨造に比べ高くなりがちですが、耐火性や耐震性、遮音性に非常に優れている構造です。
低コストで家を建てたい方には不向きかもしれませんが、平屋にするなど工夫次第で総コストを下げて建設することも可能です。

また、木造の温かみとはまた違ったテイストで、荒々しさや堅牢感があります。コストを抑えるために内装を削減し、コンクリート打ち放しにすることで、スタイリッシュな空間を作ることもできます。

木造の価格高騰などが続いている今、RC造を考えてみると建築の幅が広がるかもしれません。