オフィス併用のマンションリノベーション

| 会社名 | 鈴木岳彦建築設計事務所 |
|---|---|
| 名称 | オフィス併用のマンションリノベーション |
| 所在地 | 東京都杉並区- |

オフィス併用のマンションリノベーション
築40年のマンションの専有面積70㎡弱の住戸を、夫婦と子ども一人の住まい+夫のオフィスとして改修する計画。
住戸は5階建て最上階の角部屋で、南北東三方に窓を持つ。典型的な3DK振分タイプの間取りだったのをスケルトンに戻した上で、RC耐力壁を境に北側を玄関+オフィス+水回り、南側を住まいの空間として再編成した。

住まいの空間は中央に寝室を置き、その周囲に配置したキッチン、リビングダイニング、クローゼット、収納、デスクスペースなどの異なる居場所を回遊できるようにした。それによって、姿は見えないが気配は互いに感じられる住人同士の距離感を作り出している。同時にこの回遊性は三方の窓から取り込んだ光や風を住戸全体に回す上でも都合が良い。




寝室上部はロフトとし、子どもの遊び場や収納として使う。

以上の平面計画を、壁で仕切られた部屋群としてではなく、かといって全てがつながり合った一室空間としてでもなく、住人が状況に応じて能動的に調節可能な境界面によって実現することを考えた。それによって住宅内に巻き起こる個々人の様々な活動や気分、人によって好みの異なる光温熱音環境が心地よく共存する状態を目指した。設計にあたってはこの調節可能な境界面、すなわち「建具」の開発に注力した。



○斜め無双窓
日本の伝統的建具である無双窓を参照しつつ、従来の縦格子ではなく斜め格子の無双窓を考えた。斜めにすることで、住人の水平移動に対する視線制御と立位⇄座位の垂直移動に対する視線制御を両立させた。またこの斜め格子は上下段別々に格子の開口率を繊細に調節でき、多様な採光・通風環境を作り出す。「視線は遮りたいが風は取り込みたい」「親の気配を感じながら眠りたい」「完全に閉じて読書に集中したい」といった生活における様々なシチュエーションにフィットした環境を、建具によって生み出す。平面計画上寝室が他のスペースと近接するが、二組の斜め無双窓に挟まれることで、立体的なひし形格子の中に寝室が存在するような視覚効果とそれによる心理的な距離感が生まれる。
○スケルトンフラッシュ戸
面材を障子紙に置き換えることで光を透過するフラッシュ戸*1を考えた。芯材には一般的なフラッシュ戸でも使われるペーパーハニカムを使用している。フラッシュ戸よりさらに軽く、障子戸よりも頑丈で、ハニカム構造が独特な陰影を作り出す。脱衣室の窓から取り込んだ外光をオフィス側へ導くと同時に、ハニカムの厚みが脱衣室への視線を制御する。
光や風を柔らかく通し視線や気配を細やかに制御する新しい建具によって、間取りを超えた環境の伸び縮みや、それによる階調豊かな暮らしの実現を試みた。

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